移住者の声

酪農×北海道移住

木村 莉沙さん

広島県

動物や自然のそばで働きたい。牛も人も、幸せにする仕事

そばの生産や酪農業が盛んな十勝・新得町。
その新得町の牧場に、広島出身の女性がいます。
牛も人も育てる、木村莉沙さんのお話。

広島から北海道へ、自然への想いが導いた酪農の道

 就職を考え始めたとき、もともと生き物や自然が好きだったという原点に立ち返ったそうです。「周りは公務員や銀行員、会社員になる人が多かったんですが、自分には向いていないなと思いました」。人混みも電車通勤も好きになれそうになかった木村さんは、生き物や自然のそばで仕事をしたいという思いを募らせます。そこで浮かんだのが酪農であり、その本場としての北海道でした。
 最初の一歩を踏み出したのは、大学4年の8月。移住体験の一環で、十勝・足寄町を訪問した際、個人経営の酪農家の仕事を見学し、「やっぱり動物との生活は素敵」と確信したといいます。さらにせっかく北海道まで来たので、求人サイトで気になっていた新得町のメガファーム「有限会社北広牧場」にも立ち寄り、1泊2日で牧場体験をしました。
 もちろん牛を世話した経験はなく、右も左も分からなかった木村さんに対し、牧場の皆さんは温かく接してくれたのだそう。搾乳や哺育といった基本を教わり、酪農への思いに共感した木村さんは、「広大な北海道の牧場で働く」という自分のイメージがすっかり固まり、広島に戻ってすぐ履歴書を送ったそうです。ご両親に相談することもなかったといいますから、思いの強さが分かります。
 故郷を離れ、身近とは言えない業種に飛び込む。それは思い切った決断にも映りますが、「自分に合ったところにスッと入った感じです」と木村さんに気負いはありません。

雄大な十勝平野で、心にゆとり。愛おしい牛たちに囲まれ、酪農の魅力も発信

毎日接する牛たちが、可愛くてたまらないという木村さん。動物好きが伝わってきます。そんな愛らしい牛たちの様子は、北広牧場のSNSでも配信中です!

 手厚いサポートで不安はなく、逆に「面白い!」「牛は愛おしい」という気持ちが湧いてきたという木村さん。お乳を飲んでも、泣いても可愛い。ツンツンされても許せてしまう。人間の子どもや赤ちゃんに似た可愛さがたまりませんでした。
 仕事は早朝4時半から、牛舎ではケガやストレスを減らすために気を抜けないなど苦労もありますが、休日などの条件は充実し、北海道の圧倒的なスケールが働く環境を良いものにしています。見渡す限りの十勝平野や山々が四季を感じさせ、忙しい中にあっても心にゆとりをもたらしてくれます。
 2年目からはバックオフィスも担当し、データ入力や広報、採用も任されています。ソフトクリームのキッチンカーで販売を手伝うこともあり、自慢の商品でお客さんを笑顔にする瞬間がやりがいだとか。若手を引っ張るリーダーになった今も、「みんなで『幸せ』とは何か、牛はどうしたら幸せなのかを考えています」と楽しそうです。
 酪農の醍醐味を、木村さんはこう語ります。「一頭一頭違う動物が相手で、人間が工夫した分だけ牛は返してくれます。完成形がないのが面白いですね。そして、同じ酪農のスタイルは1つとしてなく、牧場ごとにさまざま。働く1人ひとりの『味』を掛けあわせた結果が、牛の質にも表れると思います」
 北海道の牧場で採用を担うようになってからは、「酪農という仕事をたくさんの人に知ってほしい」と強く願うようにもなりました。「本州では牛が近くにいるとは感じにくいですし、牛乳がどう作られているか考えることも、なかなかありません。生産現場を知ってもらえるだけでも嬉しいです」と話す木村さん。より良い牛を育てるのはもちろん、人づくりにも力を入れ、牛も人も幸せになれるよう今日も新得町の農場を走り回っていることでしょう。