
工藤さんご夫妻
仙台から移住して事業承継!70年続く青果店の3代目に
偶然の縁で出会った
富良野の老舗青果店を引き継いだ工藤夫妻。
「正直」で「誠実」な先代社長のスピリッツとともに
新たな挑戦に汗を流すお二人のお話。
富良野市の麓郷エリアは北海道を舞台にした人気ドラマのロケ地として知られています。

絵画のような風景が広がる。富良野市麓郷エリアに根ざす老舗青果店との出会い
どこを切り取っても絵はがきのような美しいエリアにある「藤林商店」は、事業開始から70年を迎える老舗の青果店ですが、経営者の高齢化に伴い2024年の春、宮城県仙台市から移住してきた工藤原野さん・奈奈さん夫妻が3代目として引き継ぎました。
原野さんは秋田県出身、奈奈さんは東京都出身で、先代だった藤林夫妻と血縁があったわけでもなく、移住前は仙台にて15年間共働きで暮らしていました。しかし2020年、コロナ禍で原野さんの担当していた工事現場がストップ。それに伴い離職することになりました。
「これもいいきっかけだと思って、美瑛町に住む友人を訪ねて長期滞在してみることにしました。元々仕事さえあれば都会よりローカルに住みたいとずっと思っていたので、滞在してみて北海道で暮らしたいと思う気持ちが強くなりましたね」
美瑛・富良野エリアが気に入っていたお二人は、2021年10月に北海道へ移住。「その時はまだ自分たちが商いをはじめるとは1ミリも想定していませんでした」と奈奈さんは話します。そんな二人が藤林商店と出会ったのは、2023年の夏のこと。奈奈さんが新しい仕事をさがしていたとき、「藤林商店」のアルバイト求人が目に留まりました。応募が通り、ひと夏の藤林商店の仕事に携わる中で、70代となった社長夫妻が後継者を探していることを知ります。
のびやかに、正直に、誠実に

お二人が青果店承継に手を挙げた理由のひとつに「働き方」がありました。
藤林商店は、富良野メロンやトウモロコシなど地域ならではの青果を取り揃え毎年夏季だけ営業。夏は目が回るほど多忙ですが、地域で農作物が採れない冬場はお休みです。
「このオンオフの切り替えがはっきりしている仕事は自分たちのライフスタイルに合いそうだと感じました」と原野さんは話します。ちなみに、青果店経営を「理想の仕事」として選択したのかというと、そういうわけではないようで、「富良野の暮らしが好きですし、この地で腰を据えて働くならば、藤林商店での仕事がしたいと思いました。この仕事は地域経済や住民の暮らしを守る重要な役割を担っています。後継者不足の地域を救う、過疎化を食い止める、なんて、大層な意義からはじめたわけではなく、あくまで自分たちが面白いと思うかで考えて、ピンときたという感覚です」と原野さん。
今は、先代のやり方を踏襲することを大切にしながら、青果店のロゴや店舗紹介リーフレットなどのデザインの刷新、クレジットカード決済システムや顧客管理システム導入など業務・経営面でのDX化などにも着手し始めています。どれも小さな一歩にすぎない、とお二人は謙遜しますが、着実に先を見据えた取り組みを進めています。また、今後は冬場に富良野のスキー場近くでゲストハウスの経営をするなど新しいチャレンジも検討しているとのこと。そんなお二人が新しく制作した店舗紹介リーフレットには、こんなメッセージがあります。
「藤林社長夫妻の『正直』で『誠実』なスピリッツと共にお店を引き継ぐ」
70年の歴史を継ぐためにまずは目の前のことに一生懸命でありたいと店頭に立ち、汗を流す工藤夫妻は、青果店の店主として正直さと誠実さも承継し、チャレンジを続けています。


