ローカルワークストーリー

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- 留萌エリア | 初山別村
都会人から田舎人、協力隊員から村人へ

佐古 大さんが地域おこし協力隊員として初山別村に移住したのは35歳のころ。それから4年程経過して、今ではすっかり地域の暮らしに根付き、初山別の顔となっています。
札幌出身の佐古さんは、東京の大学に進学し、本州の大手電力会社に勤めていました。ある日、電車で初山別村の地域おこし協力隊の募集広告を目にしたことをきっかけに、そこから自分自身を見つめ返し、一念発起して初山別へ移り住みました。地域おこし協力隊員として着任してからは、村からのミッションを与えられるというより、自分たちで村のコミュニティにとけ込みながら他の協力隊員と共に自分たちにできることを探り、協力隊の任期の最終年に一般社団法人マッチワークスを立ち上げました。
『繋小屋』で繋がる人と人とのコミュニティ

マッチワークスの事務所を置く『繋小屋』ではコミュニティカフェ・Tailwind(テイルウィンド)を運営し、村内のコミュニティ活動に一役買っています。村には集まって語り合ったり、作業をしたりという場所がなかったこともあり、繋小屋で村の人たちの繋がりを感じることができるようになりました。繋小屋では、村内の方々が作ったハンドメイド雑貨や地元野菜の販売なども行っています。 マッチワークスは、子どもの育成にも積極的に取り組んでいます。繋小屋では村からの受託事業として『自由学習空間オルタナ』も運営し、子どもたちの学習のサポートもしていて、村の中で必要と思われることや足りなかったことを実践しているほか、留萌管内の団体と連携して、子どもたちに初山別村の自然や一次産業の体験の場を提供する取り組みも行っています。
初山別村の人口はおよそ1200人。実は、思っている以上に結びつきが強いというわけでもない…。人の少ない地域だからこそ、そこで暮らす人々が互いに繋がりを深めていくことが肝心。マッチワークスでの事業やカフェ、そして自らの活動を通じて、初山別の人同士や初山別と近隣のまちの人々の繋がりが生み出されていくことを願っています。
田舎はそんなに不便じゃない。タフに育ててくれて自由を追い求められる、そんな村が存在します。

佐古さんは、一度途絶え復活した初山別の伝統芸能『有明獅子舞』に携わっています。また、協力隊の任期中に地域住民と協働して村内にある廃校を活用した『豊岬廃校活用プロジェクト』の企画実践など歴史や風土を大切にした取り組みは、村の新しい交流や元気を生み出しています。さらに、初山別だけにとどまらず、お隣の遠別町や苫前町といった近隣の町村の方とも活動を広げています。苫前町では町民たちで創り上げる町民演劇にも出演したり、遠別町では太鼓の会にも参加しています。
田舎で暮らすことの先入観で、不便だとか寂しいだとかのマイナスイメージが先にたちますが、「実はそんなに不便は感じないし、都会では希薄になってしまったご近所づきあいや人の温かさに触れることができるので寂しくもありません。」と言います。これだけ欲張って様々なことに携わり正直忙しいそうですが、「一つのことに縛られず柔軟に時間を使って、自分はもとより人や地域のためを考えながら過ごしていると、ストレスがない。日々鍛えられ成長していく自分と向き合い、生きることへの自信がついたし、何より風邪も引かず健康的になった。初山別に来てから自分にとっては良いことだらけ」と笑顔で語ってくれました。
農業研修をしながら、これからの仕事と暮らしを模索

協力隊の任期中にお手伝いをしながら魅せられた農業の世界。現在、村の新規就農制度を利用し農業研修を受けながら、将来への新しいチャレンジを模索しています。 村の農業者は減る一方で、佐古さんの新しいチャレンジが村にまた一つの希望を生むことになるよう、地元の農業者も後押ししています。訪れた時は、ちょうど農作業のない冬にお世話になっている牛舎で給餌をしている最中で、寒さの強い中でもたくましく白い息を吐きながら働く佐古さんがいました。
「田舎は冬の仕事が少ないと嘆く人は少なくありませんが、こうした酪農や畜産の仕事は年中人手を求めていますし、様々な仕事を組み合わせることで一年間仕事には困りません」と言います。コミュニティ事業を行いながら、一次産業に就労の場を見出している佐古さん。自分らしく自由な発想で地域の素材を一つ一つ組み合わせることでこれからの初山別での暮らし方が見えてきています。
自分に合った自分の人生を過ごすために

佐古さんは、地域おこし協力隊の活動やマッチワークスの取組を通じて地域の中にとけ込みながら、色んな人たちと関わることで自分に合った仕事ややりがいを見つけることができるようになりました。一方で現在は、自らの生計の基盤づくりと初山別の一次産業を守るという決意のもと、農業研修を受け入れてくれた農家さんに農業のいろはを学び、一人前の農家として生活していけるようにと懸命に頑張っています。「自分が率先して職業を体験し、真剣にその仕事に向きあうことができるとしたら、マッチワークスの活動にも幅が出来てきます。どんな小さな田舎の村でもやりがいや生きがいが見つかります。自分に合った自分の人生を過ごすことができる素晴らしさを実感しています」と語ってくれました。
一見大変そうに見える農家の仕事もやっていくうちに慣れ親しみ、「これほど自分の性に合った仕事はない」と思ったそうです。「地元には安定した仕事こそが仕事だと言う人もいますが、自分らしく楽しく、そしてたくましく生きられるステージこそ田舎に沢山あることを知って欲しいです」と言います。これからも、地域の素材をパッチワークのようにつなぎ合わせながら、地域を創り、自分自身の人生を創るため、佐古さんの挑戦は続きます。
(2018年3月)
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