ローカルワークストーリー
時の流れに応じて変化するニーズに応え続けていきたい。

- 04安斉 尚朋さんNAOTOMO ANZAI
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- 岩見沢・滝川エリア | 夕張市
”思い”の大切さを実感しながら経験を積み独立。

長年に渡り、夕張市内で福祉の基盤づくりに尽力されている安斉さんは、市内に家を建てしっかり根を下ろして地域のニーズに向き合っています。
短大の社会福祉コースで学んでから夕張市内の知的障害者入所施設で15年間勤め、平成21年に当別町にある「社会福祉法人ゆうゆう」(前・NPO法人ゆうゆう)に所属しながら、就労継続支援B型事業に取り組むため「さぽーとセンターシューパロ」を立ち上げました。さらに翌22年には「児童デイサービスセンターからころ」を立ち上げて事業に取り組み、平成24年に独立して「一般社団法人らぷらす」を設立しました。
最初に勤めた夕張市内の知的障害者入所施設の園長の“思い”には大きな影響を受け、自身の福祉に対する興味もそのおかげで非常に深まっていったそうです。
4年目にしてようやく軌道に。それでもまだ基盤づくりの途中。

市内にある「ゆうばりはまなす会館」では、主に就労継続支援B型事業と放課後等デイサービス事業を行っています。就労継続支援B型事業は、障害を持った方の働く場所を提供し継続して仕事ができるようサポートするもので、現在は昼食のお弁当を作って高齢者宅に配達する配食サービスを行っています。ただ配達するだけでなくお届けする方の安否を確認する“見守り”も兼ねており、配達した時の様子を各関係機関と共有するなど、見守りの体制づくりを強化しています。
放課後等デイサービス事業は、障害を持ったお子さんのコミュニケーションの練習の場として様々なシーンにおけるアドバイスを行っています。ただ勉強やルールなどを教えるのではなく、その場に応じてどのようなコミュニケーションをとればいいかということを学んでもらっています。また、お子さんをお預かりすることで保護者の方の介護負担の軽減にもつながっているようです。
「ゆうばり共生型ファーム」で主に行っている就労継続支援A型事業では、障害を持った方の就労の場として廃校になった小学校を活用してカフェを運営し、地域のコミュニティーの場として活用されています。ここではランチバイキングのほか、夕食のお弁当配達も行っています。また、地域貢献に力を入れている株式会社ツムラ夕張工場と連携し、薬効成分に含める紫蘇の選別作業も受託しています。
「ゆうばりはまなす会館」での事業はもともと基盤があった中でのスタートだったので比較的スムーズに事業が展開されましたが、「ゆうばり共生型ファーム」はまさにゼロからの立ち上げであったためかなり苦戦されたようです。例えば、旧小学校の建物を活用するといっても用途変更などの煩雑な手続きをクリアしなければいけなかったり、改修にあたりこれまで触れる機会がなかった建築法・消防法の分野の打ち合わせも大変でした。また、事業が思うように遂行できず資金繰りに苦しんだ時期もあったり、思いの共有できるスタッフに巡り合うまでにも時間を要しました。
これまで地域にあまり必要とされなかったものに着手し消えていった事業もあるそうですが、地域のニーズを最優先にしてきたことで4年目にしてようやく軌道に乗ってきたようです。
地域のニーズは無限大。 やればやるほどニーズが生まれてくる。

ニーズを拾い上げて実行してきたことが、時の流れや状況の変化によって新たなニーズを生み出します。例えば幼少期に施設に通所したお子さんが成長することで、年代に合わせたサポートが必要になる。そこに今までに無かった新しいニーズが生まれます。立ち上げ期には描いていなかった構想やアイデアが増えていくことが安斉さんにとってのやりがいになっています。
壁にぶち当たればさらにやる気が出る性格だという安斉さん。そのためか休日という休日はほとんど無いそうですが、趣味のアウトドアを通じて自然の中で過ごすことがストレス解消法のようです。
各分野との融合によって地域を賑やかにしたい。

夕張には国定公園などで整備された場所が無い分、自由に遊べる魅力的なスポットがたくさんあります。炭坑で栄えた時代の名残か、情に厚い年配者が多いのもこの地域の良さだと安斉さんは実感しています。
また、現在では福祉以外の分野(飲食店など)の人たちと「YYP」(ワイワイプロジェクト)という組織を立ち上げて、駅周辺の賑わいづくりや観光案内拠点の整備に取り組んでいます。
今年の10月には福祉とアートを融合したイベントを開催。作家さんや一般の方が多数参加され、アートを通じて福祉分野に触れてもらう良い機会になったようです。イベント終了後にも、一部の市民がアート作品を展示・販売するなど新たな展開が生まれています。今後は、食や音楽を融合したイベントを開催していく予定です。
ニーズがある限り事業を展開していきたい。活動の拠点は地域全体。

これまで様々な事業を立ち上げてきましたが、次年度からは夕張市と協議しながら生活困窮者自立支援法・生活保護法・障害者総合支援法の三つの方の相談窓口を一本化したり、農福連携の具体化、人材確保・育成の取り組み、地域として必要な仕組みづくりを行い、また、障害を持つ方がアパートのような集合住宅に暮らすグループホーム事業を進めていく予定です。今までもそうだったように、これからもニーズがあるものに対して必要な事業を立ち上げて行きたいと考えています。 一般社団法人らぷらすは、あくまでも障害を持った方が生涯を通じてこの地域で暮らすことができるようお手伝いすることを理念に掲げています。それを可能にする受け皿を安斉さんたちは作っています。
法人名の「らぷらす」はフランス語の“ラ・プレイス(広場)”に由来しています。どこか特定の拠点(場所)ではなく地域そのものを”広場”と考え、これからも活動の場を広げていきます。
(2018年1月)
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No.01
- 伊藤 香織さん
宗谷・稚内エリア
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No.02
- 山崎 啓太郎さん
札幌エリア
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No.03
- 根城 もえかさん
日高エリア
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No.04
- 安斉 尚朋さん
岩見沢・滝川エリア
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No.05
- 亀井 秀樹さん
十勝エリア
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No.06
- 近藤 舞子さん
函館エリア
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No.07
- 富樫 一仁さん
檜山エリア
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No.08
- 名塚 ちひろさん
釧路エリア
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No.09
- 木原 茂明さん
小樽・ニセコエリア
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No.10
- 佐古 大さん
留萌エリア
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No.11
- 青木 明子さん
室蘭・苫小牧エリア
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No.12
- 廣田 洋一さん
根室エリア
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No.13
- 吉田 耕一さん
旭川・富良野エリア
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No.14
- 河本 純吾さん
オホーツクエリア
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No.15
- 黒須 祥さん
札幌エリア
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No.16
- 石田 まきさん
十勝エリア
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No.17
- 武部 豊樹さん
岩見沢・滝川エリア
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No.18
- 浅野 和さん
オホーツクエリア
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No.19
- 本川 哲代さん
日高エリア
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No.20
- 菅川 仁さん
函館エリア